- 授業やゼミ、研究室で使うスライドをレベルアップさせたい人
学生のみなさんは授業やゼミ、学会などでプレゼンを行うとき、どのようにしてスライドを作成していますか?
できればおしゃれでわかりやすいスライドを作り、先生や周りの学生から一目置かれたいと思う方は少なくないと思います。
プレゼンとはただの発表にあらず、聴衆とのコミュニケーションです。
聴衆に言いたいことを伝え、理解してもらうために、「一目見て内容がわかる」スライドは不可欠です。
この記事では授業やゼミ、学会などで行う「学術的なプレゼン」を念頭に置き、筆者がこれまでの授業やゼミ、学会発表などで得た経験と知識、そして信頼できる参考文献に則って執筆しています。
実際にPowerPointを使ってスライドを作る過程を追いながら解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください!
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デフォルトのレイアウトは使わない
まずはじめに、すべてのスライドを通して重要なのが、「デフォルトのレイアウトを使わない」ということです。
普通、PowerPointやGoogle Slidesなどのスライド作成ソフトを起動してスライドを追加すると、真っ先に出てくるのがこのレイアウトだと思います。
あらかじめタイトルと本文が入っている最も一般的なレイアウトですね。
しかし、このレイアウトに沿ってスライドを作ってしまうと自然と文字ばかりになってしまい、聴衆にとって読みにくいスライドを作ってしまいやすくなります。
また、(筆者の体感ではありますが)非常に多くの人がこのレイアウトからスライドを作成するため、他の人と似たり寄ったりのデザインになってしまうというもあります。
せっかく作るなら、わかりやすくて目を引くデザインのスライドにしたい!!
そんな時は、デフォルトのレイアウトではなく、「タイトルのみ」というレイアウトを使ってみましょう。
このレイアウトでは、タイトル以外は完全に白紙です。
まっさらな状態で図や表、図形など含めたいコンテンツを追加していってみましょう。
スライドは文章ではなく図で言いたいことを言うという考え方をした方が、わかりやすいスライドに近づきます。
その図の説明や補足で必要な文章は「挿入」→「テキストボックス」から追加します。
デフォルトのレイアウトから作り上げるより、重要な図を中心として配置を自由にできるため、遥かに伝わりやすいスライドになります。
例として、本記事の内容を1スライドにまとめて記載してみるとこんな感じです。
フォントはゴシック体
文字のフォントは聴衆に与える印象を左右します。
下の画像では、代表的な「明朝体(みんちょうたい)」と「ゴシック体」で同じ文を書いてみました。
上:ゴシック体
下:明朝体
ゴシック体は可読性に優れ、力強い印象を持たせます。
一方、明朝体はスマートで格式高い印象を持たせます。
学術的なプレゼンは、限られた時間内で聴衆に伝えたいことを伝えるため、一般的に可読性に優れ、力強い印象を持たせる「ゴシック体」が良いでしょう。
教室での講義を想像してみて下さい。
前の方でスクリーンが見やすい位置に座っている人も居れば、後ろの方で前の人をよけて首を”ひょっこり”させながら見ている人も居ると思います。
あるいは、講演会や学会などでは立ち見の人もいるかもしれません。
後ろの方から見ているとスライドの文字が読み取りにくい。。。
というようなことになってしまうとプレゼンの効果が下がってしまいます。
聴衆の人たち全員に短時間でプレゼン内容を伝えきるには、「ゴシック体」の可読性と力強い印象が非常に有効です。
下の2枚のスライドで、ゴシック体と明朝体の違いを見てみてください。
なお、一つのプレゼンの中で使うフォントはできるだけ統一するようにしましょう。
ただの”線”は極力使わない
テキストボックスを追加する際や、スライド上のスペースを区切る際、ついつい枠線や棒線を使ってしまっている人は多いと思います。
しかし、おしゃれでわかりやすいスライド作りにおいて、これは致命的です。
人はスライドを見るとき、無意識に線に注目してしまうため、本来注目してほしいところに注目してもらいにくくなってしまいます。
そこで、線ではなく「塗りつぶし」を使用してみましょう。
下の2つのスライドを見比べてみて下さい。
明らかに下のスライドの方が内容が入ってくるのではないでしょうか。
筆者自身も、授業やゼミで他人のスライドを見ていて、塗りつぶしにすればグッとスライドが見やすくなるのにな、と感じることは頻繁にあります。
さらに塗りつぶしは、スライド内のコンテンツを区切る際に非常に重宝します。
いかがでしょうか。
これでスライド内に4つのコンテンツがあると一目でわかりますし、それでいて枠線も使っていないので肝心のコンテンツに注目しやすいデザインになっています。
強調したい文字は太字×拡大
文字ではなく図で言いたいことを言うというスタンスとはいえ、文字での適切なフォローは聴衆の理解を強力にサポートします。
文の中でも強調したい部分は局所的に太字にしてサイズを大きくすることで、協調したい部分が一目でわかります。
同じようにして、必ずしも強調すべきでない
- 注釈
- 数量の単位(m、kgなど)
- 出典や引用文献の情報
などは、文字の大きさを小さくして目立たなくすることで、相対的に注目してほしい部分を目立たせることができます。
いかがでしょうか。
プレゼンは「聴衆とのコミュニケーション」であり、それを円滑に進めるためには「一目見て内容がわかる」スライドが不可欠です。
聴衆に向けて「見せる」のではなく、聴衆に「見て頂く」というスタンスでスライドをデザインしましょう。
本記事を参考に学生の皆さんが授業やゼミのスライドをアップデートし、良いプレゼンを実施できることを願っています。
参考文献
宮野公樹 (2013). 研究発表のためのスライドデザイン – 「わかりやすいスライド」作りのルール, 講談社ブルーバックス
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