- AIツールを使って効率的に学習を進めたい
- 授業のレポートをChatGPTなどのAIツールで自動生成したい
皆さんは課題やレポート作成の際、AIツールを使っていますか?
最近はChatGPTに代表されるような便利で使いやすいAIツールが多数普及し、ますますAIツールが身近なものになっています。
本記事では、学生生活でのAIツールの使い方について解説します。
筆者としては、学習効果を担保しながら効率的に学習を進めるためにAIに「やってもらう」のではなくAIを支配して「使いこなす」ことが重要だと考えています。
後半では筆者が使っているAIツールも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください!
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ChatGPTとは
まず最初に、この手の話をするときに避けては通れない”ChatGPT”について解説します。
ChatGPT(チャットジーピーティー)とは、Microsoftなどが出資しているOpenAI社によって開発された人工知能(AI)です。
対話に特化したAIとして開発され、質問を投げかけるとそれに対する返事でわかりやすく答えてくれます。
↓例として、ChatGPTに「大学の授業でのレポートの書き方を教えて下さい!」と聞いてみました。
サイト自体は英語ですが、AIとの会話は日本語にも対応しています。ただし、日本語で質問しても難しい解答になるときは英語で答えてくる場合があります。
ネット上では
ChatGPTを使えば学校のレポートもブログ記事も自動で無限に生成し放題だ!!
という書き込みが増えています。事実、ChatGPTの機能としては可能なことです。
しかし、本当にそれでいいのでしょうか…?
海外の大学ではChatGPTがバレている
ここで海外の事例を見てみましょう。というのも、海外では日本よりも早くからChatGPTの利用が進んでいます。
The Stanford Dailyによると、米・スタンフォード大学の学生4,497人を対象にSNS上で行った匿名アンケートで、「秋学期の最終課題や期末試験にChatGPTを使用したか?」という質問に対して17%の学生が「使用した」と答えています。
用途は以下の通り。中にはChatGPTの書いた文章をそのまま提出した猛者(?)も存在します。
- ブレインストーミング、アウトライン作成、アイデア生成…約59%
- 選択問題の回答選択のアシスト…約29%
- ChatGPTの書いた文章を編集して提出した…約7%
- ChatGPTの書いた文章を編集せずに提出した…約6%
しかし、これに対して教員側は警戒感を強めています。
スタンフォード大学のある准教授(コンピュータ科学)は、次のように述べています。
“It was easy to tell because part of the submission included: ‘As a large language model trained by OpenAI…’”
The Stanford Daily
提出物の一部には「OpenAIによって訓練された大規模な言語モデルとして…」と書かれているため、(ChatGPTを使用していると)簡単にわかる。
また、別の大学ではChatGPTを使って書いたエッセイがChatGPTによって検出されたようです。
ノーザンミシガン大学の宗教学・哲学教授のアントニー・アウマン(Antony Aumann)は、(中略)エッセイの文体を見て不審に思い、それをChatGPTに読み込んで、プログラムによって生成された文章なのかどうかを尋ねた。すると「99%の確率でChatGPTによって作成されている」との回答を得て、その結果を学生に転送した。(中略)彼らはみな不正を働いたことを告白した。
BUSINESS INSIDER
つまり、ChatGPTを用いて書かれた文章は、ChatGPTを用いていることがわかる場合がある、もしくはChatGPTによるチェックで見破れる場合があるということです。
実際、ChatGPTの生成する文章には不自然な表現があったり、学生が書いたとは思えないような内容の文章が生成されることもあります。(ただし、最新版のGPT-4では精度が飛躍的に向上しています。)
ChatGPTにレポートを書かせるのはやめよう!
ほとんどのレポートは学生本人が作成することを前提としているはずです。
よって、ChatGPTに書かせるのはやめましょう。
試験におけるカンニング/レポートにおける剽窃・盗作と同様、ChatGPTで試験やレポートの解答を作成することは不正行為となり得ます。
そもそもChatGPTでは情報のソースは明示されない上に、間違った情報を返してくることもありますし、人間が書いた文章と雰囲気が違うので、読めばバレます。
実際、筆者もティーチングアシスタントとして学部生の解答を見ていますが、ChatGPTに書かせたものをそのまま提出している人は、読めばわかります。
学習にならないというだけでなく、単位はく奪などの処分を受ける可能性があるので、避けるべきです。
一方で…
現状、完全に見破る方法は存在しない
AIに書かせた文章であると100%見破る方法は現状存在しません。
そこで、大学の学位審査やレポートについて、東京大学の声明の中では書面審査と対面審査を組み合わせることが重要との見方が示されています。
論文やレポートなどの書面審査だけでなく、対面でのヒヤリング審査・筆記試験などを組み合わせ、本人が本当にその論文を作成したのかについても吟味する必要
太田邦史, 生成系AI(ChatGPT, BingAI, Bard, Midjourney, Stable Diffusion等)について
そもそも、生成系AIが台頭してくる以前から、コピペによる剽窃の懸念は存在していました。
例えば、プログラミングの課題を課される情報系の科目では、ネット上のプログラムをコピペしただけでは単位を取得できないように、対面での筆記試験が行われていました。
筆者自身も、筆記試験でプログラムを書き下した経験があります。
今後は情報系のみならず、あらゆる分野でこのような評価方法が増えていくのではないでしょうか。
2023年6月27日追記:生成AIを検知する「DetectGPT」が登場
スタンフォード大学のEric Mitchell氏らによって、生成AIによって作られた文章を検知する「DetectGPT」が開発されました。
今後はこうしたツールも多くリリースされていくでしょう。
AIツールを扱う際に重要な考え方
AIにレポートを書かせるのはダメです。
少し抽象化すると、AIにクリエイティブな仕事や課題をさせるのは本末転倒となる場合があります。
なぜなら、AIはあらかじめ人間が情報を与えて学習させているからで、完全オリジナルの新しいものを作り出すのは苦手だからです。
しかし、便利なAIツールは学生生活を効率化して勉強や経験を豊かにしてくれる可能性があり、”限られた学生生活を有意義に”過ごすために活用したいところです。
そこで…
AIに「やってもらう」のではなく「使いこなす」
この考え方が重要になると思います。
自分ができないことを「AIにやってもらう(AIが上)」のではなく、自分ができることを効率化するために「AIにやらせる(AIが下)」のです。
AIより自分のほうが賢く、AIの出力を批判的に見ることができる必要があります。
AIがますます普及するこれからはAIを使いこなせる人材が活躍する時代になります。この流れは止められません。
最近はChatGPTのみならず使いやすいAIツールが数多くリリースされてきていますので、ぜひ大学生のうちからAIを使って試行錯誤してみましょう。
おすすめのAIツール3選
さて、ここからは筆者も実際に使ってみて有用だと思ったAIツールの使い方の紹介です。
※学校では必ずしも使用して良いとは言い切れません。授業や課題、試験の要件を確認してから自己責任で使用しましょう。
“Grammaly”で文章校正
英語の課題などでエッセイを書く際、文章校正に使えるGrammalyという自動添削ツールがあります。
無料版では文法やスペルのような基本的なミスの指摘を行ってくれ、有料版では細かなニュアンスの指摘や語句選択についてなど、より高度な指摘もしてくれます。
筆者は下の画像のようにWordに拡張機能を追加して使っています。
間違いを直すということにおいてAIやコンピュータは非常に優れています。
人間にはない特徴として、見落としやミスが限りなく0に近いこと、そしてどれだけ同じ間違いをしても怒らないということがあるからです。
“ChatGPT”でデバッグ
プログラミングの課題をやったら大量のエラーが出てしまったけど、原因となる箇所が見つけられない。困った!
という経験はないでしょうか。プログラミングにエラーとの戦いはつきものですよね。
実は、ChatGPTはプログラムの誤りを指摘できます。
プログラミング言語にも文法がありますから、文章校正と同じく、デバッグはAIツールの得意なことです。
わざと間違えたPythonのコードを送って、デバッグをお願いしてみました。
ただしこの場合もChatGPTを全面的に信頼するのではなく、しっかりと返されたコードを自分で確認して実行し、正しいプログラムになっているかどうか確認しましょう。
ちなみに、ChapGPTにどんな言語を扱えるか聞いてみたところ、
- Python
- Java
- C++
- C#
- JavaScript
- Ruby
- Swift
- Go
- TypeScript
- SQL
- R
は使える!
でもこれ以外もできるぜ!
と返ってきました。幅広い言語に対応しています。
“Elicit”で文献調査
実は、ChatGPTは間違った情報や架空の文献情報を返してくることがあります。よって、文献調査には使えません。
そこでおすすめしたいのは「Elicit」です。
Elicitでは質問を打ち込むことでそれに合致する論文や書籍の電子ファイルを表示してくれます。
Google Scholarでも同様の検索はできますが、Elicitは質問で検索できること、検索ワードが一致しなくてもよいことが特徴です。
- DOI(電子文献と紐づいたバーコードのようなもの)
- PDFへのリンク
- 要旨(アブストラクト)のまとめ
も一緒に表示してくれるため、調査が捗ります。
卒論やゼミはもちろん、講義の課題や演習などでも、しっかりと論文や書籍を引用したいが検索でうまく目的の文献にたどり着けない、というときはぜひ利用してみましょう。
まとめ
本記事では、ChatGPTに代表されるAIツールの学生生活での利用について、解説を行いました。
AIツールがますます普及していく現代では、我々人間がAIを支配し、使いこなすことが重要です。
AIはクリエイティブな作業は苦手ですが、間違いを直すということには長けています。対話型AIなら尚更です。AIの得意なこと、苦手なことをしっかりと理解して、うまく学生生活を効率化していきましょう。
参考文献
The Stanford Daily (Jan. 22, 2023). Scores of Stanford students used ChatGPT on final exams, survey suggests
BUSINESS INSIDER (Jan. 23, 2023). 学生のレポートがChatGPTで作られたと完全に証明する方法は今のところない
太田邦史(東京大学理事・副学長(教育・情報担当))(2023年4月3日). 生成系AI(ChatGPT, BingAI, Bard, Midjourney, Stable Diffusion等)について
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