- これから研究室配属を迎える学部生
- 外部進学を考えている学部生・大学院生
これから研究室に入るみなさんは、どのようにして研究室選びをしていますか?
学部生にとっては研究室の活動が想像しづらいことも多く、どうやって選べばいいか頭を悩ませる人も少なくないと思います。
この記事では、京大院生の筆者が研究室選びの際に重視すべきと考えるポイントを解説します。
結論として、研究室選びの際には実際に研究室を訪問して先生方や先輩方とじっくり話をすることが最も重要です。このことを前提として解説していきます。
筆者の研究室選びの実例紹介もありますので、ぜひ最後までご覧ください!
この記事がもし良いと思ったらコメント、SNSでのシェアをよろしくお願いします!
魅力的な研究をできるかどうか
興味があって魅力的と思える研究ができる研究室を選ばないと、配属後に研究を進めるのが苦しくなります。
一見当たり前なのですが、よく調べておかないと配属されてから「思っていた内容と違う」となりかねません。
研究テーマはその特性上、同じ分野の中でも非常に細かく細分化されています。
同じ専攻やコースに所属している研究室であっても、どのような研究を行っているのかは研究室によって本当に違うのです。
まずは研究室のホームページや紹介パンフレットで情報収集し、その後実際に研究室に足を運んで、学生や先生から研究内容について詳しく聞くと良いでしょう。実験の様子や解析の様子なども見せてもらえるかもしれません。
似通った名前の研究室であっても、実験を主とする研究室なのか、解析を主とする研究室なのか、対象とするフィールドはどこか、などなど研究室によって大きく変わってきます。
しっかりと調べ、理解してから研究室を選ぶようにしましょう。
研究室の制度は自分に合いそうか
研究室の制度や指導教員の先生方の指導スタイルも重要です。
例えば
- コアタイムがある/ない
- 進捗報告の頻度
- 学会発表や論文執筆がどの程度求められるか
- 研究室行事に全員参加/任意参加
など、
これらの情報は研究室の紹介資料やホームページには掲載されていないことが多いため、実際に研究室を訪問して直接尋ねることが重要です。
また、近年では多くの研究室でアカハラ・パワハラ・セクハラが問題として明るみに出ています。このような研究室は断固避けなければなりません。
先輩や先生と良好な人間関係を築けそうか
研究室においては、良好な人間関係を築くことも重要です。
研究は個人戦だし関係ないでしょ…と思ったそこのあなた、人間関係は研究において非常に重要です。
研究は、黙々と実験や解析を行ってデータを作る・まとめるという部分が根幹にありますが、先生方や他の学生とのディスカッション、研究室内での進捗発表(ゼミ)、学会でのポスターや口頭での発表、そして最後には論文の執筆といったところまでを含みます。
これらの活動を円滑に進めるために重要となるのが、良好な人間関係です。
研究室では、研究や発表の進め方について、先生方や先輩から指導して頂いたり、頻繁に意見を交わします。また、学生室内で休憩時に談笑したり、一緒に学食を食べに行ったり、スポーツ大会や飲み会、旅行などのイベントがある場合も多いです。
そう、研究室に配属された後は研究室が最も深く関わるコミュニティになるのです。
もし、会いたくもない人たちばかりの研究室に通いながら、一筋縄ではいかない研究に立ち向かう、なんて状況になると、毎日精神をすり減らすことになってしまいます。
これについてもやはり実際に研究室を訪問することで、先輩や先生と直接話をしながら見極めることが重要です。
真剣な研究内容の話はもちろんのこと、一緒に学食を食べに行く、研究以外の行事についても聞いてみると、より研究室の雰囲気や性格を知ることができるでしょう。
博士課程学生がコンスタントに所属しているか
博士課程学生が毎年コンスタントに所属している研究室は、
- 極端に厳しい制度や指導方針がない
- 実験や解析を行う設備・環境が充実している
- 国際学会や国際誌に積極的に成果を発表している
など、純粋に研究を楽しみ、深めることができる環境が整っている可能性が高いです。
また、学部生や修士課程学生にとって、博士課程学生の先輩が研究室内にいれば、研究に関わる質問や小さな困りごとにも対応してくれることも多いです。
忙しい先生方には日々の細かなフォローアップができないということも珍しくないため、年齢の近い先輩として研究の遂行を助けてくれる非常にありがたい存在となります。
[実例紹介]京大院生の筆者が今の研究室を選ぶまで
さて、ここからは筆者の実例紹介です。
筆者は現在、京都大学大学院工学研究科・都市社会工学専攻の地球資源システム分野研究室に学部生の頃から継続して所属しています。
京都大学の工学部では学部4年生の春から研究室に入ります。僕は3年生の秋から冬にかけて、5つの研究室を訪問して情報収集を行い、最終的には今の研究室に第一希望で配属していただきました。
ここからは研究室選びの過程で重視した点を解説していきます。
自分がやりたかった研究ができる
弊研究室は、地震現象の理解や資源開発の際に重要となる地下の岩盤応力や地殻物性、地熱資源の評価などについて、実験・解析の両面から研究・開発を行っています。
筆者は高校の頃から資源開発や海洋掘削といった分野に興味を持って進路選択をしてきたため、それに最も当てはまる研究室がここでした。
また、学部生のころに授業で数値計算が得意だと感じていて、実験も解析もできる環境があるという点も魅力的でした。
博士課程学生がコンスタントに所属している
弊研究室では、修士課程修了者、もしくは外部から、毎年1,2名の博士(後期)課程学生が生まれています。
これは筆者が配属される前から続いている傾向で、筆者もホームページで博士課程学生が各学年1名以上在籍されていることを確認していました。
- 先生方が積極的に学生を受け入れるておられる
- 研究遂行・学会発表・論文執筆に至るまで、先生方や先輩のサポートが充実している
- 学生のアイデアややりたい研究を尊重してもらえる
これらのことが学生にとって大きなメリットとなっていて、博士課程学生がコンスタントに生まれるのも自然なことだと感じます。
先生・先輩たちの雰囲気が自分に合う
弊研究室の学生は楽しく、そして真剣に研究に取り組んでいます。
作業に集中する時間やゼミでの真剣なディスカッションの一方、昼食や夕食は一緒に、時に先生も一緒に学食に行ったり、不定期でフットサルやバスケもやったりしています。
研究室訪問の際から、先輩方は気さくに対応してくれ、それでいて研究の話になると真剣に話されていたのが強く印象に残っています。こういった空気感は実際に研究室を訪問しないとわかりません。
他に魅力的な研究を行っている研究室もありましたが、人間的にフィットできそうという実感が最後の一押しになりました。今でもこの選び方をしてよかったと思っています。
おわりに
本記事では、研究室選びの際に重要となるポイントを筆者の実例を踏まえて解説しました。
研究室選びの際には実際に研究室を訪問して先生方や先輩方とじっくり話をすることが最も重要です。
本記事の内容を参考に、皆さんが納得のいく研究室選びができることを祈っています。
参考文献
総務省 (2022). 令和4年科学技術研究調査 用語の解説
京都大学大学院 都市社会工学専攻 地球資源システム分野研究室
コメント